食卓に並んだ酢豚を眺めながら、私はお父さんの回答をじっと待つ。
お父さんと会話をするときは、やっぱりまだ緊張してしまう。
「何か目的があるのか」
「文化祭に……出てみたくて」
おばあちゃんは空気を察して、「中学のときは文化祭なかったもんね」と援護してくれる。
お父さんは黙々と食事を進めながら、頭の中でいろいろと考えているようだった。
「も、守倉先生は、絶対に無理をせずに、誰か付き添いがいるなら、半日だけならいいって……!」
焦った私は、まだ聞かれてもいないのに説明を口走る。
すると、お父さんは落ち着いた口調で、質問を投げかけてきた。
「いるのか、付き添いしてくれる人が」
「い、いる……」
どんな人か聞かれたら、どうしよう。
「そういえばこの前、守倉先生が、クラスメイトがお見舞いに来ていたと言っていた。その子か?」
「うん、そうだけど……」
「家にも何回か遊びに来てるらしいな」
「知ってたんだ」
正直に答えると、お父さんはまた沈黙する。
でも、高校に行けと言ったのはお父さんだし、交友関係を深めることは悪いことじゃないはず。
びくびくしながら回答を待っていると、おばあちゃんが口を開いた。
「幸治、そんな怖い顔したらご飯がまずくなるでしょう。いいじゃない文化祭くらい、青花の同級生はもうあと一年で卒業しちゃうんだし」
「おばあちゃん……」
「青花。楽しんでおいで。お父さんは説得しておくから」
おばあちゃんの気の抜けた明るい声にほっとして、呼吸がしやすくなる。
お父さんはおばあちゃんの言葉に「ダメだなんて言ってないだろう」と渋い声で答えてから、私の顔をまっすぐ見つめてきた。
「どんな子なんだ、その子は」
「男子だけど、同性の友達みたいに話しやすくて、趣味も同じで、一緒にいると楽しいよ」
ここは正直に伝えるべきだと思った私は、思っていることをそのまま口にする。
お父さんは「男子」という事実に多少驚いている様子だったけど、気持ちを落ち着けるように水を口に含んだ。
「その子がずっと、文化祭で一緒にいてくれるんだな?」
「うん、いてくれる」
「走ったり、はしゃいだり、無理をしないと絶対に誓えるならいいだろう。心拍数を測れるデジタル時計も、しっかりつけて都度確認すること」
「え……本当に?」
お父さんと会話をするときは、やっぱりまだ緊張してしまう。
「何か目的があるのか」
「文化祭に……出てみたくて」
おばあちゃんは空気を察して、「中学のときは文化祭なかったもんね」と援護してくれる。
お父さんは黙々と食事を進めながら、頭の中でいろいろと考えているようだった。
「も、守倉先生は、絶対に無理をせずに、誰か付き添いがいるなら、半日だけならいいって……!」
焦った私は、まだ聞かれてもいないのに説明を口走る。
すると、お父さんは落ち着いた口調で、質問を投げかけてきた。
「いるのか、付き添いしてくれる人が」
「い、いる……」
どんな人か聞かれたら、どうしよう。
「そういえばこの前、守倉先生が、クラスメイトがお見舞いに来ていたと言っていた。その子か?」
「うん、そうだけど……」
「家にも何回か遊びに来てるらしいな」
「知ってたんだ」
正直に答えると、お父さんはまた沈黙する。
でも、高校に行けと言ったのはお父さんだし、交友関係を深めることは悪いことじゃないはず。
びくびくしながら回答を待っていると、おばあちゃんが口を開いた。
「幸治、そんな怖い顔したらご飯がまずくなるでしょう。いいじゃない文化祭くらい、青花の同級生はもうあと一年で卒業しちゃうんだし」
「おばあちゃん……」
「青花。楽しんでおいで。お父さんは説得しておくから」
おばあちゃんの気の抜けた明るい声にほっとして、呼吸がしやすくなる。
お父さんはおばあちゃんの言葉に「ダメだなんて言ってないだろう」と渋い声で答えてから、私の顔をまっすぐ見つめてきた。
「どんな子なんだ、その子は」
「男子だけど、同性の友達みたいに話しやすくて、趣味も同じで、一緒にいると楽しいよ」
ここは正直に伝えるべきだと思った私は、思っていることをそのまま口にする。
お父さんは「男子」という事実に多少驚いている様子だったけど、気持ちを落ち着けるように水を口に含んだ。
「その子がずっと、文化祭で一緒にいてくれるんだな?」
「うん、いてくれる」
「走ったり、はしゃいだり、無理をしないと絶対に誓えるならいいだろう。心拍数を測れるデジタル時計も、しっかりつけて都度確認すること」
「え……本当に?」