倉庫中にやまびこのごとく延々と響き続ける私の声を聞いたことで苦笑しながら、抜かした私の腕をぐいっと引っ張って立たせた奴は、私の足の力が弱くなっているのを見抜いて、そのまま自分の胸に私の体を無理やり預けさせた。

「ねえ」
「何」
「僕の彼女になってよ」
「やだ」
「即答?僕、物件としては悪くないと思うけど」

そうでしょうね。
私以外の女子ならば喉から手どころか足も出るくらい欲しい物件でしょうに。

「まただんまり?」
「……尋問に拒否権はありますよ」
「僕刑事じゃないんだけど……。まあいいや」

そう言うと、私の体をそっち離す。俯いたままの私の顎をつかんで無理やり自分の目に合わせた。

「さっきの続き、話そうか」
「続き?」
「なんでここに入れるかって話」

それは重要だ。

「早く話せ」
「なんでここの事になるとコロッと態度変えるの。僕の話の時にはごまかしはぐらかしの連続だったのに」
「あんたの話なんぞ、ここの事以外、興味は一ミクロンもない」
「仮にも告白してきた男に言うセリフがそれなわけ?」
「早く言え」
「ほんっと傷つくなぁ」

さほど傷ついてもいない、飄々とした表情で言葉を続けた。

「僕ね、この学園の理事長の関係者なんだ」
「へ?」
「まあ詳しくは言えないんだけど」
「詳しくは知らなくていい。要件を早く」
「はいはい。理事長って僕の家の本家筋の人間でね、今年は色々忙しいみたいでなかなか学校に来られないみたいなんだ」