ゲホゲホとむせるように息をする。

 ーーし、死ぬかと、思った……

 怖くて、悲しくて、涙が滲む。

「うっ……ぐっ、ふっ」


 堪えることができずに声を漏らしてしまい、泣いていることを勘づかれた。


「なんでてめぇが泣いてんだよ。泣きてぇのはこっちなんだよ!」

「……何も、してないのに……」

「流星を取っただろうが。テメェがいなきゃ葉月は流星と付き合えたんだよ!」


 そんなこと言われても、私はちゃんと断った。


「川内流星が誰を好きになろうと本人の勝手でしょ……!?」

「うっせぇんだよ。なんでテメェが葉月よりモテてんだよ。おかしいだろが!!」


 唾を吐くように、つらつらと暴言を吐かれる。
 言い返されることは分かってるけど、言ってやらなきゃ気が済まない。


「100人中100人が葉月さんを好きになるって限らない!」


 声を荒げて怒鳴る。言った後に『しまった』と思った。


 けれど、誰を好きになるかなんて決められる筋合いない。