「…………何」


「こっち向いてよ」


 ……なんで。誰のせいでこんなことになったと思ってんの。


 流星くんと話すことなんて何もない。



「俺と付き合うなら三人との仲取り持つよ?」


「何言ってんの。私のこと別に好きでもなんでもないクセに」


「そんなことないよ、大好きだよ?で、俺と付き合うの?付き合わないの?」


「……付き合わないって言ったら?」


「んー、もっとヒドイことしちゃうかもね。それこそクラスの女子全員を敵に回しちゃうかも」



 ……ヒドイ。卑怯すぎる。人の心なんて全然考えてない。


 ピタッと立ち止まると、流星くんは後ろから私を抱きしめてきた。


「椎名が言いたくないなら言わなくていい。付き合ってること黙っててあげるから……ね?内緒で付き合おう?」



 ……なんで。なんで今になってそんなこと言うの。



「テスト期間中考えてたんだよ。やっぱり椎名がいいなーって。俺の好みドンピシャだし、ね」


「でも……私の本心を知って嫌になったんじゃないの」


「一瞬ね。けど、どうしても椎名が良いからさ、ね?」