俺の前世は同級生の嫁。

作品番号 1641295
最終更新 2021/08/14

俺の前世は同級生の嫁。
直行/著
恋愛・青春

81ページ

総文字数/ 127,670

ランクイン履歴:総合3位 (2021/08/03)


 親父の転勤が決まったのは、春休みに入る直前だった。

 姉は新しい高校が決まっていたし、ある意味丁度いいという流れになった。だったら、俺も姉と一緒に住むと言った。それ言った途端、親父大好きの母親が嬉しそうにした。それが何か知らんけれど、癪に障った。

 俺は別に姉が大好きとかで、一緒がいいって言ったんじゃない。嫌いじゃあないけれど、あんまり得意じゃないくらい。そんな姉との同居を希望した理由は、住む場所が従兄の家だったからだ。

 従兄は俺の命の恩人だ。三年前、一緒に遊んだ時に、秘密基地で火事に巻き込まれた災厄がある。どっちも子供で、お互い何も出来なかったけれど。消防車が来るまで、必死に俺を励まし続けてくれた姿を見て、俺は一生ついていくと決めたんだ。

 四月までには、従兄の家への引っ越しが終わった。芸能人である姉は時間が合わなかったけれど、叔母と従兄の三人で引っ越し祝いのパーティをしてくれた。従兄の家は三年前に、親父さんが亡くなっていた。自分の立場でいう叔父だ。だから余った部屋を、俺と姉で丁度良く当てがって貰えたのだ。

 叔母も二人が来てくれて嬉しい、と言ってくれた。本当は俺を恨んでいるんじゃないか、って思っていた。三年前の火事で、俺と従兄を助ける為に、叔父は命を落としているんだ。後で従兄に相談したら、あり得ないと笑顔で怒られた。まるで俺の気持ちなんて見抜いていたかのように、優しい言葉を掛けてくれたんだ。

 従兄の名前は押立鉄。鉄はクロガネって読むんだけれど、彼の名前はクロと読む。従兄の母親が間違えて、出生届にガネを書き損じた結果らしい。だけれどクロが無えより、黒単体の方がカッコいいんじゃんか。って感じで、本人はむしろ気に入っているみたい。

 青い空は普通だけれど、黒い空は宇宙だ。宇宙は無限、三六五日いつでも胸騒ぎが起こってもおかしくない。名前が宇宙(ソラ)の俺からすると、クロと居ると何でも出来そうな気がしたんだ。

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