高校生の友情なんて呆気ないものだ。
ほんの些細な言葉一つで、ピンと張っていた糸はすぐに千切れる。
千切れた糸を繋ぎ合わせるのは不可能だ。

一度切れてしまえば、二人はきっと私を誘わなくなる。
そしたら段々と溝ができて、二人は私のそばから離れていくのは容易に想像ができた。


一人になるのは耐えがたく、パチンと両手を合わせた私。


「…ごめん! 私、妹の迎えとかもあってなかなかスマホ使えなかったりするから、ちょっと今は難しいかなって…」


なるべく角が立たないようにと、二人の顔色を伺いながら言葉を取り繕うと、そっかぁ、それなら仕方ないよね、と二人とも納得して引き下がる。
じゃあまた時間できたら教えてね、という言葉でSNSのお誘いは幕を閉じた。


「そういえばさぁー」
そして会話はどんどん上書きされていく。
まるでそれは、麗かな春の陽気のように。波風を立てることなく、静かに過ぎ去るのだ。
私は小さく、ふう、と安堵の息を吐くと、止まっていた箸を動かしてご飯を食べた。


私は、いつだって世界の片隅にいればいい。
私が何かの中心にいたり、アクションを起こしたりする必要はない。
ただ、そこにいて、笑えばいい。
そうすれば、その場の空気を乱すことはないし、緩やかに時間は過ぎてゆく。

私はいい子でいなければならない。
誰かにそうしなければいけないと強制をされているわけではない。
私が自分で判断してそうしているだけだ。

一人ぼっちになってしまう悲しみを私は経験してきた。
苦しくて、つらくて、生きた心地がしない。
もう、あんな思いはしたくない。

私が小さい頃からもっと"いい子"でいれば今こんなふうになっていなかったかもしれないのに、そう後悔しても遅いのに後悔せずにはいられない。
会いたくても会えなくて。
そんな私は、あの頃と同じようにいい子を演じていた。