「それで? お優しいお姫様は、惨めな友人を憐れんで助けてくださったわけだ。俺は何を返せばいい? なんでも思うがまま命令するといいさ」
「違う! そんなつもりでやったわけじゃない!」
「じゃあどんなつもりだ?」

 ヴィンスが真っ直ぐにイヴの瞳を覗き込む。イヴはとっさに視線を逸らしてしまった。自分の心の中にある醜い下心を見透かされそうな気がした。
 決まっている。イヴは愚かにも、幼馴染への恋情ゆえに悲願を捨てたのだ。
 そこにいたのがヴィンスでなければ、あるいはヴィンスのことをなんとも思っていなければ、イヴは絶対にこんなことはしなかった。可哀想にとは思っても、眉一つ動かさず他の誰かに買われていくのを傍観し一秒後には忘れていた。彼女は自分がどんな人間かよく知っていた。

「わ、私は」