リタレイン伯爵邸を後にしたイヴは茫然自失のままふらふらと帰宅し、そのまま寝室に引きこもった。ベッドに倒れ込みからからに乾いた目を見開いて顔を枕に埋める。体の内側を燃えるような感情が舐めているのに、涙の一つも出やしない。こんなことは初めてではなかった。イヴが大切な人を失うのはもう三人目。父、母、そしてヴィンス。