彼はイヴの勝手な行動を今更だと怒るだろうか、それとも喜んでくれるだろうか。あなたと食べるご飯がやたら美味しいのだと言ったらどんな顔をするだろう。これから先の人生、ずっとヴィンスのことを大切にして過ごしたいと言ったら。──愛していると伝えられたら。
 応接間の扉が開かれる。扉の隙間に長身の人影が見えた。その人影が部屋に足を踏み入れると同時に、イヴは顔を上げた。