あまりにもあっさりと交渉が上手くいきイヴは拍子抜けしてしまう。
 夫人の目配せを受けた従者が部屋を立ち去る。夫人は目の前に座るイヴには目もくれず、手持ち無沙汰に指で髪をいじっている。イヴは下唇を噛み、視線を足元に落としていた。ヴィンスに最初に何を言うか考えながら。