──ヴィンスにもう一度会いに行こう。
 右手に嵌めた腕輪を、左手で痛いほど強く握りしめる。蒼色の石が月光を浴びて冴え冴えと輝きイヴの瞳を貫いた。
 どれだけ滑稽だろうと構わない。彼が望まなくても、嫌がられても、伝えなくてはいけないことがあったのだ。
 今のあなたのことが何より大切だと。
 そんな陳腐で、凡庸で、当たり前のことを、イヴはずっと、言えないままでいたのだ。