イヴはただ流されるがまま、体を動かしていたに過ぎない。
 お笑い草だ。苛烈に願いを叶えようとする魔術師が、誰かの願いを受けて奇跡を起こそうだなんて。
 イヴはのろのろと立ち上がり、魔法陣を足で踏み消した。遺髪を拾い上げロケットにしまう。元通りに施錠魔術を施した上で、ぱちんと閉めた。