それからは気まずくて、ヴィンスと顔を合わせることはなかった。イヴは現実から逃れるように書物の海に溺れ魔術の研究に集中した。
 結局、両親の形見は手に入れられなかった。それでも研究は進めなければいけない。これは一族の悲願なのだから。
 ──死者を蘇らせる魔術の創造は。
 モーリス家は代々魔術に長けた一族だった。その奇跡の技をもって王に仕え、援助を受けて研究に打ち込んでいる。
 その中でも連綿と受け継がれる使命がある。その一つが死者の蘇生だ。禁忌とも言われるその望みを、しかし叶えたいと願って、彼らは手を伸ばし続けた。
 イヴもその一人。きっと歴代の誰よりも強烈に願いを抱いている。
 これはいい傾向だと判断していた。魔術の発動には強く願うことが必要だからだ。