美乃里の母親が入院してしまい、兄の大地がご飯を作ってくれた。だけど、それはお世辞にも美味しいとは言えず、翌日から大地の友人の奏良が夕飯を作りに来るようになった。
奏良が作る料理はどれも美味しかった。
大地が料理以外の家事をこなしているのに、何もしていないことが嫌だった美乃里は、奏良に料理を習うことにした。
奏良と味噌汁の練習を繰り返していると、母親の退院が決まった。退院祝いに奏良と料理を作り、喜ぶ母親と大地を見て、美乃里は嬉し涙を流した。
それから15年の月日が流れ、奏良と美乃里の間には雪音という娘が生まれていた。母親と大地に料理を振る舞って以来、料理の腕を上げてきた美乃里は、二人のために毎日、美味しい料理を作る。
美乃里が料理を作るときは、昔奏良に言われた『食べてもらう人の笑顔を想像する』という隠し味を入れている。
それもあってか、美乃里が作った料理が並ぶ食卓は、いつも幸せな時間が流れている。