あれから一週間、奏良は毎日ご飯を作りに来てくれた。
レパートリーは豊富で、どれもおいしかった。


「みーちゃんはツンデレのようで素直なかわいい子だよね」


グラタンを食べていたら、目の前に座る奏良が頬杖を突きながら言ってきた。
唐突にそんなことを言われるとは思わなくて、むせた。


「はい、お水」


差し出されたコップを受け取り、のどに通す。


「何を……」
「大地に冷たくしてるように見えるけど、寂しいからわがまま言ってるだけだよね?僕のご飯を食べてくれてるときは自然な笑顔を見せてくれるし」


奏良の言っていることが正しくて、自分が恥ずかしくなった。
ただ黙ってグラタンを食べ続けた。


「……ねえ」
「んー?」


皿洗いをする奏良の背中に呼びかけた。


「……みそ汁の作り方……教えて」
「なんで?」


奏良の隣に立ち、皿を拭く手伝いをする。


「お兄ちゃんは料理は壊滅的にへたくそだけど、それ以外の家事を頑張ってやってくれてる。わがまま言ってるって言われて、こんなときにまだそうしてる自分が恥ずかしくなった。だから、少しくらい料理ができたらなって」


奏良のほうが向けなかったけど、奏良に抱きかかえられた。


「それは名案だ!大地、泣いて喜ぶよ!」
「わ、わかったから、下ろして!」


そんなことをしていたら、お兄ちゃんが帰ってきた。


「おい、奏良!美乃里から手を離せ!」


帰宅早々賑やかになったけど、ちょっと助かったところもあった。