琥珀はそう思いつつも、少女の隣に並んで同じように手を合わせた。
しばらくそうしてから、少女が琥珀の方を見た。
「あなた、名前は?」
「拙者か?名は琥珀だ」
答えると、少女は笑い出す。
「ふふ、そんな格好に喋り方…まるで忍者みたい」
「……まあ、その通りだ」
「……へ?」
「お主こそ、ずいぶんと珍妙な格好だが、この国の者ではないの……か……」
琥珀は、少女の顔を初めてしっかりと見て、言葉を失う。
今まで妙な服装にのみ目がいき、顔をまともに見ていなかったのだ。
「ち、珍妙って…ごくフツーのセーラー服なんだけど。特別可愛い制服ってわけでもないし、よくあるで…」
「姫っ!」
少女の言葉を遮るようにして、琥珀はひざまづいた。
「申し訳ございません。あなたとは気付かず
ず、偉そうな口を聞いてしまいました。
どうかお許しください」
「へ?」
「しかし、姫は何故このような場所に?
まさか、やはりここはあの世で……拙者が敵にやられたばかりに、あなたまでも……!」
「ちょ、ちょっと待ったあ!
わたし『姫』じゃないし、あなたとは初対面だと思うんだけど?」
慌てたように否定され、琥珀は改めてじっと少女の顔を見る。
サラりとした黒髪だけでなく、相手をまっすぐ見つめる瞳や小さな鼻、ぷっくりとした唇までもが、琥珀の仕える主の娘──唄姫と瓜二つである。
しかし、しばらく考えてようやく理解した。