「やっぱり、そうなのね」


「……ああ」


「何を思い出したのっ?」



食い気味に尋ねる由菜に、琥珀はゆっくり息を吐く。

そして、寂しそうな表情を浮かべた。



「なあ、由菜。正直に教えてくれ」


「な、何?」


「俺は──」



先ほどよみがえったあの生々しい記憶。

あれが本当の記憶であるのならば……



「俺は、過去からこの時代に来てしまったわけではないんだな」


「何言ってるの?あなたは400年昔から来て、帰る方法を探してるんでしょ?」


「もう嘘はいい」



由菜が言葉を詰まらせた。

泣きそうな顔に見える。



(由菜は分かっていたのだな)



本当の琥珀の正体。

考えが合っていれば、先程の男たちの反応にも納得できる部分がある。








「死んだんだよな、俺は。400年前に」






琥珀のことは、恐らく由菜にしか見えていない。