「毎日二つだけお互いについて知ることができるの。
で、あなたは考えをまとめながら自分の話をしているうちに、今は思い出せない、ここに来る直前のことを思い出せるんじゃないかな、って」


「……なるほど?」


「どうしても話したいことが三つ以上あるなら話しても構わないけど、基本は二つね。
こういうのって、しっかり決めておいた方がやりやすいから」



由菜の説明に琥珀はむっと考え込む。



(確かに、ゆっくり考えて頭を整理すれば、今忘れていることを思い出せるかもしれかいが……時間がかかるな)



それでも、慌てたところで思い出せるわけでもない。



「わかった。自分について二つ話すんだな。まあ、言い出したのはお主だ。先に話を聞かせてもらおう」


「そうこなくっちゃ」




そう言った由菜は、琥珀の隣に勢いよく腰を下ろす。


バサっと色付いた落ち葉が舞う。



「んー……そうだな。何の話をしよう」


「言い出したのだから、話すことは決めてあるのかと思ったが」


「あはは……いざ自分の話をってなると難しいわね」


「ならば、お互い二つ質問をして、答えを考え、翌日それについて話すというのはどうだ?」


「おっ、それ良いかも」



由菜の賛同を得られたので、琥珀はさっそく気になってたまらなかったことを質問をした。


一つは来栖家の現状について。
もう一つは「せーらーふく」という妙な服は、誰もが着ているのか。

二つ目の質問には苦笑いされた。



「来栖家の現状はともかく、セーラー服についてかあ…
まあいいや。わたしの質問は『得意な忍術は何か』と『家族構成』かな」



彼女の質問の内容が唄姫についてでなかったことは意外だったが、少し安心した。