家にはいくつもあり、手入れしながら長く使ってきたので愛着があるのだ。しかも、やはりご飯がおいしい。
「お供え、してくか……」
祖母は家から徒歩十分ほどの距離にある小さな神社にいつもお供え物をしていた。
神社といっても社務所があるわけでもなく、神主さんもいない。
朱色がところどころ残る古ぼけた鳥居と、小さな手水舎(ちょうずや)。
そしてこれまたかなり小さめのお社があるだけだ。
しかも、知らなければ気がつかないような小道を山に向かって入っていき、ようやく姿を現すそこは、地元の人たちもめったに訪れない。
『神様も寂しかろうから、時々話し相手をしないとね』というのが祖母の口癖で、私も一緒に何度か通った。
墓はお寺にあるように、特に神道を極めているわけではなく、ただ近所に住んでいるという理由だが、私はそんな祖母の優しさが大好きだった。