ブオン。
公園の生垣の向こう側から聞こえて来たその音に、わたしははたと歩む足を(それからアイスを舐める舌を)止めた。
今何か、聞こえたような気がする。一体何の音なのだろう。
じっと立ち止まって、公園の中の音に聴覚を集中させる。
ブオン。
得体の知れないその音に、わたしは固まる。
……もしや、これこそ今話題の不審者とやらではないのだろうか? だとすれば、一刻も早く家へ駆け込むべきではないだろうか。
わたしはすっかり花も散り終え緑の葉の茂るようになった桜の樹木に身を隠し、そっと公園の中を伺う。
すると、何ということだろう。わたしの目に飛び込んできたのは猟奇的といって良い光景だった。