いざ書店へ向かうと、参考書の種類に圧倒された。

 この近隣には、わたしが通っている高校のほかにも、公立私立含めいくつか進学校が集中して存在する。
だから毎朝駅は学生でごった返す、らしい。わたしは徒歩圏内に自宅があるからその苦しみは知らないけれど、遠方から通っている友人は不満でいっぱいのようだ。

 ならば、自宅に近い高校を選べばよかったじゃない――というのは、禁句だ。

 わたしなんかは非常に安易な性格だから、「徒歩で通える高校がいい! ついでに言えば学費の安い公立がいい!」とばかりに今通っている学校を志望校に選び、選んだ後で偏差値が高い高校であることに驚きつつ、それなりに勉強をして合格したクチだ。

 でも同級生の中にはかなりの割合で、「電車通学をしてでもここの高校に受かりたい!」と高い志を持って合格した生徒がいる。

 だから死んでも「自宅に近い高校を選べばよかったじゃない」とは言えないのだ。わたしとは志の高さがまるで違う。