「うーん。わたしは、まだ塾はいいかな」

 はっきり言って、わたしは三年生になるまで塾の本科性になるつもりはない。季節講習だけなら考えるけれど、毎週毎週通うとなると、気が重い。

「だよねえ」

 だよねえ、ってどういう意味だ……とわたしが思うなり、二人はくすくすと笑いだした。

 一体なにがおかしいのだろうとわたしが怪訝な目つきをすると、

「かおるは塾に行かなくても、小神先輩に教えてもらえるもんねえ」

とわざとらしく甘ったるい口調で語尾を伸ばす。

 その瞬間、全身に悪寒が走った。わたしは左右に全力で首を振る。

「絶対の絶対に、それだけは嫌!」

 考えただけでぞっとする!

 普通の会話でさえうっとうしいのに、さらに一時間、二時間と勉強を教えられるなんて!

「でも塾行かないにせよ、そろそろ勉強したら? 例えば置き勉やめるだとかさ」

「そうそう、かおるの机って、爆発寸前だよね。掃除当番の気持ちになったことってあるの? 机移動させる時、置き便クイーンの机ってホントいやになるんだから」

 いつの間にかわたしにはそんな称号が与えられていたらしい。

 かろうじて言い返すことができたのは、

「……わたし、か弱い乙女だから荷物いっぱい持って帰れないんですぅ」

 しかしこの返答がまたたく間に反論を喰らったのは、言うまでもないことだ。