かばんに必要最低限の荷物を入れ(ほとんどの教科書は「置き勉」するのだ)、わたしたちはどれほど生物と化学が強敵か、などについてうだうだと不平を垂れながら、校門を出る。

「そろそろあたし、塾通い始めるかも。もう二年生だもんね」

「本当に?」

 わたしは目を丸くした。塾なんて、三年生になってからでもいいのでは? と首を傾げる。

「そう思う? 実は私もそうしようかなって思ってたんだよね。どこの塾行く?」

 そう言われて、ますますわたしは目を丸くした。二人とも、ちゃんと勉強のこと、考えてるんだな……。

「とりあえず、駅前の塾に行くつもり。みんなあそこ通ってるし、安心じゃない?」

「だよね。わたしも駅前にしよっかな」

 塾ってそんな風に決めるものなのか。

 たとえみんなに人気の塾であっても、自分に合うとは限らなくない?

 確かに、身近な高校生に支持されているかどうかが入塾の判断基準の一つであることは認めるけど。

「かおるは、どうするつもり?」