こうしてわたしたちが桜の木の下で、松本くんの〝スーパー・ヒーロー(注・小神談)〟たるゆえんを中心に、女子らしい噂話に花を咲かせているところへ。

「おや、星野さんではありませんか」

 この雰囲気とはまったく似つかわしくない男がやってきた。その口調だけで充分判別可能な男、小神忠作が。

 わたしの背中に、一瞬にして鳥肌が立った。

 この時間は食堂で一人黙々と昼食を食べているはずなのに……計算違いだ。

「……じゃあ、かおる。また五時間目に生物教室でね」

「……遅刻しないようにね」

 そそくさと、友情の欠片も感じさせずに去る二人。わたしを置いて行くなー!とも言えず、わたしはただ二人に手を振る。