「これは間違いないよ。先生に聞いたんだもん」

 友人は誇らしげに語る。先生からの話ということは疑う必要はなさそうだ。

 さらに、こんな話まで。

「松本くんってスポーツだけじゃなくって勉強もできるんだよね。だからうちみたいなガリベン進学校に入ったんでしょ?」

「ほらほら、入学式のときの新入生代表のあいさつって松本くんだったじゃん」

「そうだったっけ」

 わたしは首を傾げる。二年生のわたしにとって、入学式は遠い過去の出来事だ。そもそも入学式なんて退屈だし、あいさつなんてまともに聞いていなかっただろう。

「かおる、記憶力悪いなあ。心配するわぁ。……あれってね、入試の点数が一番良かった人があいさつするんだよ。だから松本くんはわたしたちの代の首席入学者なんだって」

 さりげなくののしられたような気がする、けれど。