別に親しくなんてしてないから! 等々、わたしはしばし二人に抗議したが全くもって聞き入れられなかった。なんというわたしの地位の低さ。

 それからわたしは始業式の日にあった出来事をかいつまんで二人に話して聞かせた。その間も、グラウンドではキャッチボールに引き続き、ノックや打撃の練習が進んでいた。金属とボールの触れあう甲高い音が、春の空に響いている。

 すべて話し終わると、二人は声高に笑いだした。遠慮のない、スカッとした笑いだ。ひとしきり笑ってから、意外な一言を口にした。

「かおるって、誠実だよね」

「え? わたしが?」

 虚をつかれ、何が何のことやらわからない。

「だって、いやだいやだ言いながらでも、先輩のアドバイスをちゃんと聞き入れたってことでしょ?」

 うーん、良い言い方をすればそうなのかもしれないけれど。でも本当に素直に聞き入れたというより、やけっぱちで観察しているんだけどな。

「松本くんがかおるの救世主って小神先輩は言いたいのね」

「そうらしいんだよね……」