いつまでたっても意識が戻る様子もないので、これ幸いとわたしは打ち明ける。

 小神の家を訪れる前に見た、比奈さんの出てくる夢のことは、今でもわたしの胸の中で引っかかっていた。

「今までの先輩の話から察するに、先輩は比奈さんという女性の夢を覗き見てしまったんですね。

 先輩は夢の中で比奈さんの悩みを知ってしまい、比奈さんを助けようとした。でもその結果かえって比奈さんを苦しめてしまった。

 先輩は今でもなおそれを心に病んでいる」

 わたしはカーテンをそろりと開け、壁時計を確認する。まだ次の授業まで十分残されていた。