「わたしたち、去年は別のクラスで、全く面識がなかったはずです。わたし自身、松本くんの名前さえも知りませんでした。もちろん、出身地域や中学校だって違います」

 去年――わたしたちが高校一年生のころのこと。わたしは一年三組だったが、松本くんは別のクラスだった。何組だったかは知らない。

 ちなみに、同じクラスだったが存在を忘れていた――なんてことは絶対にありえない。

 なぜならわたしの名前は「星野」で、彼は「松本」なのだ。

 出席番号は必然的に近くなり、定期テストでは間違いなく近くの席に座るはずである。

「合点のいかない様子ですね」

 わたしが顎に手を当て考え込む様子を見てか、小神が口を開いた。

「その通り、去年あなたと松本くんは別のクラスです。松本くんは当時一年一組でした。名簿を見る限り、星野さんは一組の構成員ではありませんでした。わたしは昨年度、松本くんの夢を見るようになってから彼の個人的なデータは可能な範囲で収集していましたから、この違和感にはすぐに気が付きました」

 あんたの情報収集力はすごいんだな。ちょっと引いてしまうレベルである。

 しかし、さっきから聞いているとやや気にかかることがある。