小神は列車が通過する間じっと高架を見上げていた。

 その時初めて、小神は案外やわらかい髪質の持ち主で、なおかつ髪の量が多い方なのだということに気付いた。

 夏が来るころには重苦しくなっていそうである。

 列車が通過しきってから、小神は視線を川面へと移動させた。

「星野さん、あなたは覚えていますか? 私と星野さんが出会った時のことを」

 筋を教えてくれるのかと思いきや、全く関係のない質問が飛び出た。

 少々面食らって、

「えっと、わたしと先輩の出会いですか?」

風で乱れた髪を手串で整えながら、わたしは少々考える、ふりをする。