実はこの疑問は今年度の最初から覚えていたものだった。

 四月の始業式直後、どうしてわざわざわたしを呼び出し(この辺は割と日常茶飯のことではあるが)、松本くんを観察し、その姿勢に学ぶようにわたしを仕向けたのか。

 尋ねたいことが次から次へとダムが決壊したかのように溢れだしたとき、小神が口を開いた。

「私は何度か松本くんの夢を見ていたのです。それも、星野さんが見たというのと全く同じ夢を」