しかしその所作すらも先ほどまでの小神の陰鬱な話しぶりを目に耳にした後では、どこか悲壮感の漂う動きに見えてしまう。大げさな言葉ではあるが、ふと「滅びの美学」という一語が頭の一片を掠めたほどだった。

「結局のところ、私の行いは彼女の問題を解決するどころか、悩みを深刻化させただけのものでした。間もなく彼女は不登校がちになり、私の不要な干渉のあった半年後にはこの市内の他の私立高校へ転校してしまいました。当然私は傷つき悲嘆に暮れましたが、彼女が負った傷に比べれば私のそれなど取るに足らぬものだったことでしょう」


「先輩、人の心の傷の度合いなんて比較していいものじゃありませんよ」