唐突な要求に、わたしはストローを弄る手を止めた。なんというか……それはわたしの予想だにしない不意な要求だった。

 今日見た夢とは、すなわち松本くんに自分がなったかのような錯覚を覚えた、あの夢。

 夢の中でわたしはそれを「夢だ」とはっきり自覚していた……これって確か「明晰夢」っていうんだっけ? いつかテレビで聞いたことがある。

 その内容を小神に伝えるのは何だか恥ずかしかった。まずわたしが松本くんになっていたなんて、まるでわたしが松本くんのことを過剰に意識するあまり恋に落ちてしまっているかのようではないか

――と思ってから、そういえばそもそも松本くんを意識するようになったそもそもの原因は小神の忠言ではないか、と思い出す。

「……もしも、嫌だといったら?」

 逡巡ののち出したわたしの返答に、小神はこともなげにこう返してきた。

「もしも私があなたにどれでも好きなパフェを奢ると言ったら? それもいくつ頼んでも構わない、と」

「教えます!」

 即答。