「なんで和奈が謝るのよ。今のはぜんぜん謝るところじゃないわ」
「なんで今町が噛みつくんですかー。俺は和奈ちゃんと話してまーす」
そこからまた、頼子と殿村くんが笑顔で口論を始める。なんだかこのふたりは水と油なようで、馬が合っているような気もする。
「で? 殿村くんの願いごとってなんなのかしら?」
「え?」
頼子の質問に、テンポのよかったふたりのかけ合いが一瞬止まった。
けれども殿村くんは、すぐに笑顔になって、
「ほら、教えると叶わなくなるとかいうから、秘密」
と人差し指を立てる。
頼子はげんなりした様子で、
「気持ち悪……」
と言った。
「おい」
「それより、廊下で仁王立ちしてるの、バスケ部の顧問じゃないの? 殿村くんのこと呼んでるよ。また朝練サボったとか?」
「げ」
殿村くんは、あからさまに“げ”という顔をして、手招きをしている鎌堂先生のほうへおずおずと歩いていった。その様子がおかしくて、私は思わず笑ってしまう。
「なんで今町が噛みつくんですかー。俺は和奈ちゃんと話してまーす」
そこからまた、頼子と殿村くんが笑顔で口論を始める。なんだかこのふたりは水と油なようで、馬が合っているような気もする。
「で? 殿村くんの願いごとってなんなのかしら?」
「え?」
頼子の質問に、テンポのよかったふたりのかけ合いが一瞬止まった。
けれども殿村くんは、すぐに笑顔になって、
「ほら、教えると叶わなくなるとかいうから、秘密」
と人差し指を立てる。
頼子はげんなりした様子で、
「気持ち悪……」
と言った。
「おい」
「それより、廊下で仁王立ちしてるの、バスケ部の顧問じゃないの? 殿村くんのこと呼んでるよ。また朝練サボったとか?」
「げ」
殿村くんは、あからさまに“げ”という顔をして、手招きをしている鎌堂先生のほうへおずおずと歩いていった。その様子がおかしくて、私は思わず笑ってしまう。