それから約二週間、夜の電話も土日のバイトも続き、ほぼ毎日央寺くんと話す日が続いた。さすがに徐々に慣れてきて、より自然に話ができるようになってきた気がする。

 内容も、学校のこと、バイトのこと、部活のこと、家族のこと、将棋のことなど、いろんなことを話した。相変わらず人前は緊張してしまうけれど、バイトでの接客対応もだいぶマシになってきている。

 十一月も下旬にさしかかった頃、私は思い切って眼鏡からコンタクトレンズに替えた。数日家で練習をし、おかしくないかな、と気はずかしさで何度も鏡で確認してから登校する。

「おー! 和奈ちゃん、いい感じ」

偶然にも、その初日の朝に廊下で殿村くんと一緒になった。

「言ったじゃん、可愛いって」

 覗きこまれて頭をポンポンとされ、私は小声で、
「あ……ありがとう」
 と返す。

 恥ずかしいけれど、内心、かなり嬉しかった。