……て、私は何をベラベラしゃべっているのだろう。まったくしゃべれないのも困るけれど、しゃべりだしたら止まらないというのも考えものだ。

 でも、央寺くんはちょっとだけでもホッとしたかもしれない。あのラブレター事件のことがあるから、バイト仲間になったというのに、また好かれちゃったらやりづらいだろうし、誤解を生みそうな態度もなるべく控えたほうがいいだろう。

 それに、私にとってもメリットがない。またそういう対象として見てしまったら、今以上にポンコツになる自信が確実にある。

 いくら、央寺くんが優しくて面倒見がよくて、電話で話す練習やマニュアル作成をしてくれたり、さりげなく助け舟を出してくれたりしても。いくら、身長が伸びて、顔も大人びてきて、骨格もしっかりしてきて、本当にたまにだけれど見せてくれる笑顔が素敵だなと思っても……。

 ……あれ?

 飲みこんだ唾が変なところに入り、ケホケホと思いきりむせる。