意外なようで、考えてみたらこんな毎晩のように電話をくれることがOKなんだから、当たり前かもしれない、と思った。彼女だったら、絶対に嫌だと思うし。

『姫野は?』

 思いがけず聞き返され、私は、
「い、いないよ。いないってわかるでしょ? ほら、央寺くん曰く、私は対人恐怖症なんだし」
 と、どもりながら答える。

『たしかに』
「…………」

 自分で言ったことだけど、たしかに、と言われるといい気分はしない。まぁ、学校で話せる人といえば、頼子くらいしか……。最近は、殿村くんとも少し話してるけれど。

「あ、でも、友達はちゃんといるよ? それに、ちょっといい人だな、って思える人も……いるにはいるし」
『いい人?』
「うん。そういえば、央寺くんと一緒でバスケ部みたい」
『……へぇ』