「ていうか、和奈、なんか疲れてる?」

 眼鏡をつけなおすと、頼子が少しかがんで私の顔をじっと見てきた。

「そう? 土日にバイトだったからかな」
「あぁ、そういえば、どうなの? 慣れてきた?」
「うーん……、まぁ、ぼちぼち」

 だいぶマシにはなってきたけれど、まだまだ慣れてきたとは言えない。昨日一昨日のことを思い返し、眉を下げて薄く微笑む。

「浮かない顔。例の男の子に絡まれまくってるんじゃないの?」
「ううん、だから違うって。むしろ……よくしてもらってる」

 そう言いながら、央寺くんに助けられたり教わったり、マニュアルまで作ってもらったことを思い出す。一番関わりたくないと思ってた人物なのに、本当に気にかけてもらっていて、申し訳ないほどだ。

「ほら、言ってた夜の電話は続いてるの?」
「あぁー……うん、まぁ」
「あら、さすがロック……」
「オンされてないから」