「つーかさ、このメンバー、なんか懐かしいなぁって思ったんだけど、覚えてる?」
「え?」

 急に聞かれて、何かあったっけ? と思い返す。

 けれども結局思い出せずにいると、痺れを切らした関谷くんが、
「ほら、中三のレクレーション大会の日、間違って学校に行っちゃった組だよ! 一緒に先生の車に乗って総合体育館に行ったじゃん」
 と声を上げた。

 え? その日って……。

 呆然としていると、央寺くんが、
「あぁ」
 と思い出したかのように頷いた。

 その央寺くんの反応にも驚いて固まってしまった私は、必死に当時の記憶を手繰る。央寺くんとの初めての会話に舞い上がっていたから、そのことだけが強く思い出になっていたけれど……そう……そうだ。そういえばそうだった。先生が教室に私たちを迎えに来る直前、関谷くんが教室に入ってきたんだ。

 今の今まで忘れていたことに自分でもびっくりして、私は声が出なかった。