『あれ?』
教室に入ってきた央寺くんが、私以外誰もいないことに驚いて、入口のドアに手をかけたまま固まっている。
『姫野だけ? なんで?』
私は読みかけの本を閉じて、
『……現地集合だったみたいで』
と返した。
その日は市の総合体育館に現地集合だと、変更があったらしい。らしい、というのは、変更の通知があった日に私は風邪を引いて休んでいて、先生が私に連絡を入れ忘れていたからだそうだ。
そのことを央寺くんに話したら、彼も同じだった。その日、央寺くんは親戚のお葬式があって休んでいたと教えてくれた。
『さっき先生が教室に来て、あと十五分くらいしたら一緒に車に乗せて送ってくれるって。時間も三十分後に変更になってたみたい』
『なんだそれ。いい加減だな、先生』
央寺くんは、大げさなため息をついて自分の席に座る。
教室に入ってきた央寺くんが、私以外誰もいないことに驚いて、入口のドアに手をかけたまま固まっている。
『姫野だけ? なんで?』
私は読みかけの本を閉じて、
『……現地集合だったみたいで』
と返した。
その日は市の総合体育館に現地集合だと、変更があったらしい。らしい、というのは、変更の通知があった日に私は風邪を引いて休んでいて、先生が私に連絡を入れ忘れていたからだそうだ。
そのことを央寺くんに話したら、彼も同じだった。その日、央寺くんは親戚のお葬式があって休んでいたと教えてくれた。
『さっき先生が教室に来て、あと十五分くらいしたら一緒に車に乗せて送ってくれるって。時間も三十分後に変更になってたみたい』
『なんだそれ。いい加減だな、先生』
央寺くんは、大げさなため息をついて自分の席に座る。