央寺くんが作ってくれたマニュアルに書きこんでいたため、大事に折りたたんでバッグに入れる。帰ってから、また読みこもう。ここまでしてくれている央寺くんに、ちゃんと応えたい。なんだか自分が自分じゃないみたいだけれど、そんな気持ちが大きくなる。

「あ……明日から……」
「ん?」
「バイト上がりに、店内で商品の場所を覚えていこうかなと……思うから」

 陳列棚の配置もちゃんと覚えて、お客さんに聞かれても大丈夫なようにしておくことも大事だ。

「あぁ」
「だから……」
「それにつきあえって?」
「ちが……逆で」

 先に帰ってほしい、と言うつもりだった私は、慌てて首を横に振る。

 けれど、
「いいよ。いろいろ説明したいこともあるし、つきあうよ。土日はお客さんが途絶えなくて、バイト中はなかなか店内を回りながら説明できないし」

 央寺くんはひとりでどんどん話を進めていった。緊張するからひとりのほうがいいのだけれど、そう言われてしまうと断れない。