「……俺に対しても」
「……う……」

 そうなのだ。昨日電話ではわりとスムーズに話せたのに、実際に会って話すとなると別問題だった。ふりだしに戻ったかのように、赤面はするし、目を見て話をすることもできないし、会話もろくに続かない。

「俺も話すほうじゃないから……まぁ、わかるけど」
「……ごめん」
「ごめんじゃなくて」
「……すみません」

 わかっている、そういうことじゃないっていうのは。反省して、少しでも直せってことなんだろう。央寺くんが、どこか遠い目をしているのを見て、再度謝りそうになるが、ぐっとこらえる。

「あ、そうだ。これ」

 バイト服の黒いズボンのポケットから何かを取り出して、「はい」と言った央寺くん。受け取って見ると、それはA4用紙が数枚束ねられたものだった。