「だからさ、このコーナーにあったはずなんだって。ちゃんと探して」
「あ……はい、あの、ちょっと……お待ちいただ……」
「わかってんのか? ホントに。店員のくせして」
翌日のバイト中、央寺くんがレジに立っている時だった。私が店内で返却作業をしていると、中年の男のお客さんに声をかけられて、DVDを一緒に探すことになった。けれども、まだちゃんと場所を把握しきれていない私は、おたおたして手間取ってしまう。
「失礼しました、代わります。ジャンルとタイトルを教えていただけますか? ……はい。すみませんが、そちらのDVDでしたら只今特設コーナーを設けさせていただいていて、こちらのほうに……」
レジが空いた央寺くんがすかさず間に入ってくれて、目配せを受けた私は交代でレジへと戻る。ちょうど会計をするお客さんが来て、結局手間取ってしまったのだけれど。
「……ごめん……なさい」
戻ってきた央寺くんにレジまでやってもらった私は、静かになったカウンター内で謝る。
央寺くんは、
「今のは仕方ないでしょ」
と言った後で、
「それより、その性格が改善していないことが意味わからない」
と付け加えた。