たしかに声が小さくなっていた。そんなに眠たいなら、こんなことをしてくれなくてもいいのに、と思う。でも、言いたくても言えない。 

『俺が黙りこんで三分経過したら、電話切っていいから。たぶん寝落ちするから』
「……うん」
『いつも寝入るのに時間かかるし、若干睡眠障害っぽいんだけど、昔からいつも将棋してると眠くなって』

 睡眠障害? 

 不眠症ということだろうか。あまり聞き慣れない言葉に驚いて、
「そうなの?」
 と聞き返す。

『一石二鳥だと思ったんだよね。姫野は電話することで緊張が解けるだろうし、俺も不眠症が改善されるだろうしって』

 そうだったんだ。納得する気持ちと、それでも腑に落ちない気持ちで、
「じゃあ……これ、本当に続けるの? 明日もするの?」
 と聞いてみる。