“も”と言われて、ずんと心が重くなった。椿坂方面と柊ヶ丘方面で経路が違うからバス自体は別だろうけれど……バス停が同じだったのか。

 上がり時間は同じだったものの、まだ店長と話しているようだったから、帰りがかぶらないように急いで着替えて出てきたというのに、意味がなかった。央寺くんも、さっきまでずっと手を焼いていた人間になんて会いたくなかっただろうに。

「横、いい?」
「あ…………うん」

 私をじっと見下ろした彼は、
「間があったね、やっぱり立っとく」
 と言って腕組みをした。

「やっ、あっ、だ、大丈夫。……大丈夫」

 思わず央寺くんのバッグを引っ張ってしまった。体が傾いた央寺くんは、バッグを肩にかけ直し、「じゃあ」と言って少し距離を取ってベンチに座った。

「…………」
「…………」

 ほら、やっぱりこうなる。さっきまでも、レジカウンター内でほとんどこんな感じだった。まるでまだバイトが続いているかのような緊張感に、私は膝の上で拳をギュッと握る。