「央寺くんに聞いたよ、姫野さん。同じ中学校だったって」
「え……」
「いやぁ、転校したらしいのに奇遇だねぇ。教育係は央寺くんに任せることにしたから、気兼ねなく彼に聞けばいいよ。馴染みのある相手のほうが、いろいろと聞きやすいだろうし」

 店長は二重になっている顎をさすりながら、ハハハと笑う。

「そ……」
「昨日と同じように、ふたりでレジに入ってね。今ちょっと裏が忙しくて、僕は末浦さんと春日さんと一緒に倉庫のほうにいるから。こみはじめたら、カウンターの下にあるボタンでコールしてね」
「あ……」

 正社員のおばさんと一緒に、陽気に語らいながら倉庫のほうへと歩いていく店長。

 私は伸ばしかけた手を下ろして、深いため息をついた。央寺くんは十分ほど前に来ていたらしく、すでにレジに入っているようだ。私は覚悟を決めて、またレジカウンターの中に裏から入った。