「聞いてる?」
「はっ、はいっ」
ちょうどお客さんがレジに来て、私は慌てて、
「い、いら、いらっしゃいませ」
と言った。
ただでさえ小さく情けない声が裏返ってしまい、お客のおじさんが、妙なものを見るような目を向けてくる。
央寺くんは慣れた手つきでレジ業務を済ませ、背筋が伸びたきれいなお辞儀をする。
そして、
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
と、流れるように挨拶をした。
頭を下げたままこちらへ視線を寄こしてきた央寺くんにハッとして、
「あ、あり、がとう、ございましたっ」
と挙動不審な会釈をする私。自分の不格好さにはずかしくなり、顔がどんどん熱くなる。
「…………」
「…………」
お客さんがレジ周辺にいなくなり、出入りもなくなると、央寺くんが無言のままでジトッとこちらを見てきた。斜めうしろで直立不動の私は、今しがたの緊張と央寺くんと一緒にいるという事実の整理ができなくて、ひたすら瞬きを繰り返す。
「はっ、はいっ」
ちょうどお客さんがレジに来て、私は慌てて、
「い、いら、いらっしゃいませ」
と言った。
ただでさえ小さく情けない声が裏返ってしまい、お客のおじさんが、妙なものを見るような目を向けてくる。
央寺くんは慣れた手つきでレジ業務を済ませ、背筋が伸びたきれいなお辞儀をする。
そして、
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
と、流れるように挨拶をした。
頭を下げたままこちらへ視線を寄こしてきた央寺くんにハッとして、
「あ、あり、がとう、ございましたっ」
と挙動不審な会釈をする私。自分の不格好さにはずかしくなり、顔がどんどん熱くなる。
「…………」
「…………」
お客さんがレジ周辺にいなくなり、出入りもなくなると、央寺くんが無言のままでジトッとこちらを見てきた。斜めうしろで直立不動の私は、今しがたの緊張と央寺くんと一緒にいるという事実の整理ができなくて、ひたすら瞬きを繰り返す。