店長が苦笑いをして、その様子を見ていた。明日美さんは、もともとそういう顔なのか怒っているのか、鋭い視線で私を凝視している。
私は、ポケットの中のメモ帳を取り出してぎゅっと握り、店長の後についてレジにつながっているらしいドアへと急いで向かった。
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
ドアを開け、すぐに目に入ってきた背中にぎょっとする。明日美さんを紹介された後だったから、てっきり女の子だと思いこんでいたのだ。
その背中は広く、肩も私よりずっと高い位置にある。ほんの少し襟足の跳ねた黒髪を見上げた私は、あぁ……男の人と一緒なんて、なおさら無理だ、と思った。今日のところはなんとか頑張って、帰りに“バイトは辞めさせていただきます”と伝えよう。
「ご苦労さん。新しく入った子を連れてきたからね」
店長の声かけに、
「あぁ、はい」
と返事をして振り返る彼。私は直視できずに、
「ひ、姫野 和奈です」
と早口で言って不格好なお辞儀をした。
私は、ポケットの中のメモ帳を取り出してぎゅっと握り、店長の後についてレジにつながっているらしいドアへと急いで向かった。
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
ドアを開け、すぐに目に入ってきた背中にぎょっとする。明日美さんを紹介された後だったから、てっきり女の子だと思いこんでいたのだ。
その背中は広く、肩も私よりずっと高い位置にある。ほんの少し襟足の跳ねた黒髪を見上げた私は、あぁ……男の人と一緒なんて、なおさら無理だ、と思った。今日のところはなんとか頑張って、帰りに“バイトは辞めさせていただきます”と伝えよう。
「ご苦労さん。新しく入った子を連れてきたからね」
店長の声かけに、
「あぁ、はい」
と返事をして振り返る彼。私は直視できずに、
「ひ、姫野 和奈です」
と早口で言って不格好なお辞儀をした。