央寺くんに聞いてみると、彼は眉を掻きながら、
「あぁ、うん、そう」
 と歯切れ悪く答えた。心なしか耳の端が赤い気がする。

「流行ってるもんね」
「まぁ」

 央寺くんが集めているというのは意外だ。そういう流行ものには食いつかないイメージだから。

「何色集めたの?」
「六色」
「すごい。あと一色で願いごと叶っちゃうね」

 央寺くんはバッグのポケットに入れこんでいたストラップの束を見せてくれた。カラフルなそれらを見て、そういえば殿村くんもあと一色で集まると言ってたっけ、と思い出す。

「あと……赤、かな?」
「そう。なかなか出ない」

 車道を走る車がライトを点けはじめ、それが通りすぎるたびに央寺くんが照らされる。光がキラキラとその睫毛を透かしたかと思うと、影はほんのり微笑んだ口元へと流れ、見上げていた私はうっかり見とれてしまった。