バイトが終わり、着替えを終えて裏出口から出ると、央寺くんが壁に寄りかかっていた。

「あ、来た」

 そう言って私に近付いてくる央寺くんに、
「あれ? てっきりコンビニに何か食べ物買いに走ったんだと思ってた」
 と言うと、逆に、
「今日は店内回らなくていいの?」
 と聞かれる。

 きょとんとした私は、先週日曜日のことを思い出し、ぶんぶんと手を振って撤回する。

「えっ? いいよ、この前いろいろ説明してもらったし、もう大丈夫だと思う。それに、央寺くんお腹すいてるでしょ」
「じゃあ……」

 央寺くんは少し考え込むようなしぐさをしてから、この店の向かい側にあるファミレスの看板を見た。

 そして、
「メシ、付き合ってよ」
 と言った。