「いやぁ、姫野さん、よく気付いたね。お手柄だ。あと、ホラーコーナーの位置についても考えないとね」
「……あ、い、いえ……は、はい……」

 レジの横で、店長に褒められる。私は今さらドキドキしてきて、さっきの男の子のようにおどおどしながら頷く。レジカウンターから、ピ、ピ、という音が響いてくる。央寺くんが、お客さんの会計をしているところだ。

「気配り上手で頼もしいよ。今後もよろしくね」
「は……はい……」

 スタッフルームへ戻っていった店長を見送り、またレジカウンターの中に戻る。店内のスタッフはまた私と央寺くんだけになり、慌ただしい空気がようやく沈静した気がした。

 お客さんに一緒に、
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
 と頭を下げ、私はちらりと央寺くんを見る。

 そして、すぐにはっとする。勢いよく時間を見ると、すでに午後三時を回っていた。